雲
彼がそれを見ないためにはなんでもするものっていうのは、あるのだろうか。死ではない、孤独ではない、人間関係のトラブルでもない、自分の弱さでもない、追ってくる過去でもない、もう二度と戻らないこども時代でもない、将来への不安でもない、発狂でもない、退屈でもない。きっともはやそういうものはないんだろう。でもきっと彼には、そのようなものがミックスされて突然襲ってきて、いくら冷や汗をかいてのたうちまわっても時間が動いてくれなくて、泣くことも笑うこともできず苦しむあるタイプの夜の経験が、一度ならずあるだろう。
よしもとばなな <解説>なんで癒されたんだろう
頭上にはもう青空がひろがっているのに
桜も降るように散っていったのに